九月

シャン・チー/テン・リングスの伝説の九月のレビュー・感想・評価

3.9
新たなヒーローの誕生。今回初めてMCUをIMAXで観て、大迫力のアクションや映像と音楽を堪能できた。

どこか親しみを覚えるような主人公のシャン・チー。初めはどこにでもいそうな、人の良いお兄さんにしか見えなかったけれど、凄まじい過去や家族との関係が明らかに。
穏やかで優しく、戦いとは無縁に見える彼が、突然バスの中で襲われ、驚くほどの強さを発揮することになるが、母親にたっぷりの愛情を注がれた幼少期と、父親に殺しを教えられた殺伐とした少年期と、今のシャン・チーがだんだん繋がっていく。

過去と現在が織りなされたその構成に、カンフーアクション、ファンタジー要素、
また、中国の時代劇でも始まったのかと思うような過去のパート、サンフランシスコやマカオでのイケイケな現代パート…などなど、楽しめるポイントがふんだんに詰め込まれていた。

本作でのヴィランであるシャン・チーの父親は、ただただ極悪非道な存在だと思っていたが、観る前のそんなイメージとは全然違った。
最愛の人を亡くした悲しみの末の狂気で、自分の息子と娘を巻き込んで世の中に復讐を果たそうとする姿に、同情しつつもゾッとした。

初めてのアジア人ヒーロー。そんなシャン・チーの誕生譚として、その人柄や強さ、過去や背負っているものなど、(まだ分からないこともあるが)彼は何者なのかということが無駄なく説明されていた。

いきなり登場してきたキャラクターを知る、という気持ちで楽しめたが、如何せんまだエンドゲームまで見終えたばかりで傷が深いこともあり、新章突入にまだまだ切り替えが追いつかず置き去りにされているような感覚になったりもした。
盛り込まれている要素が多すぎて、ところどころついていけなかったのも事実。
しかしながら、最近MCUを追い始めたばかりの身としては、新入りヒーローに親近感が湧いてしまって、これから他のヒーローたちとどう融合して活躍していくのか、楽しみでならない。
ウォンの手引きによって、アベンジャーズの生き残ったメンバーたちと出会うことになりそうだけれど、そもそもエンドゲーム後のアベンジャーズは一体どうなったのか…?また長い道のりになりそう。

シャン・チーが決死の覚悟で助けに向かった妹シャーリンが、実は全く助けを求めておらず、どうにか力を合わせて一緒に戦うことになるものの、結局のところ味方とも言い切れない危うさ。彼女も今後の展開に大きく関わってきそうで、気になるところ。


〜好きなポイント〜
・高層ビルでの戦いの臨場感
・蘇るアイアンマン3
九月

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