ミンティ(シンシア・エリヴォ)はとある白人家庭に雇われた黒人奴隷一家の娘。白人家庭の借金のカタに売りに出されたミンティはたったひとりでメリーランド州からペンシルバニア州へ160kmの逃亡の旅へ出る。それが彼女の人生を賭けた偉業に結びつくこととなる。
生まれた時から自発的行動を覚える前に叱られるため命令を聞くしかない奴隷黒人。逃げれば「自由か死」しか待っていない奴隷黒人である。当初のオドオドと顔色を伺う視線と姿勢に、ペンシルバニアの黒人たちのおかげでいつしか力と光が灯り胸を張り走り出すシンシア・エリヴォが素晴らしかった。自然をバックにしたシビアだけど美しい映像。エンドロールまで聞き応えのある音楽で最後まで目を逸させない作りである。
ミンティ自身の神がかった演出がやや気になるのだけど、それほど注意深く動物並みに敏感で身体能力も高かったのだろう。かなりはしょったと思うので、ちょっとうまくいきすぎじゃね？と思う場面も多々あるのだけど、概ね満足。これは減点しづらい丁寧な作品。
