きた

アラビアンナイト 三千年の願いのきたのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

物語って基本的に最初と最後で主人公の「何か」が変わるものだと思ってて、この主人公は最初から満たされてるからここから、どういう変化があるんだろうと思ったけど最後のノートで理解。

主人公、女子寮時代書き留めていたイマジナリーフレンドの設定をある時馬鹿らしくなって燃やしてしまった。これがヒントでした。

この映画は、別にあれ燃やす必要なんかなかったんだと主人公が気づく話なんだと思った。その意味では別にジンにまつわる全てが彼女の妄想だと考えてもこの話は何も変わらない。はたからどう見えたとしても大事な物語は彼女の傍らにあってそれをよすがとして生きていけるのだから。

『落下の王国』好き必見!と謳われてて、確かに画面感似てると思ったけどテーマ的にも通底するものがある。

近代の人間にとって物語とは何か?神や悪魔の存在が否定された時代になぜ空想の世界が必要なのか?多分、科学が客観的に「正しい」世界を明らかにしたとしても、人間はそこに夢を見てその夢のフィルター越しに生きていくということ。そのフィルターが生きるために必要なものなんだろう。(これを悲劇的な状況で展開すると『パンズ・ラビリンス』になる)

願いを叶えた後の魔人の方が好きかも。あんなに過去のことを熱く語ってたのに、なーんか寂しそうで、退屈そうで、静かになっちゃってさ笑。この解釈は違うかもだけど、魔人は願いによって主人公を好きにさせられたから、本当はあの後でもシバやゼフィールを思っていたんじゃないのかなーと…。元カノのことでクヨクヨしてる男そのものでしかなくてウケる。

あと予想外に音楽がめちゃくちゃよかった。
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