このレビューはネタバレを含みます
この映画のコピーを考えました。「宮崎駿の霊界通信」
既に「風立ちぬ」がこの世とあの世の境目みたいなところから語ってる感あったけどこの話はもう完全にあの世から語ってた。死んだお母さんの若い頃と一緒に冒険するってもうなんかそのモチーフだけで寂しくなっちゃった。
「フィクションから現実へ戻れ」というラスト、否が応でも「シン・エヴァ」を思い起こさずにはいられない。でもシン・エヴァが「お前らも現実戻れよ」というとこで終わってたのに対してこっちはさらに「これからはお前たちがやっていくんだからな」というかなり直接的なエールがあってそこにめちゃくちゃ感動してしまった。
正直ストーリーとかは別にそこまで来なかったので本編の99%まで⭐︎3くらいのテンションだった。それを4に押し上げたのはラストもラスト。あのやたらあっさりした終わり。フィクションとしての気持ちのいい絵で終わらない。地続きに現実に戻って、監督からのメッセージを直接手渡されたような感触。
誰もいない部屋で終わるとしても、そこにエンドロール載せちゃうとか、主題歌をそこにかけてエンドロール入っていくとか色々考えられる。でもすぐ切り替わってそっけないほどシンプルなエンドロール。めっちゃいい。駿の想像世界はこれで本当に終わりで、後は見てるお前らの時代なんだよということ。
コクリコ坂のドキュメンタリーの「(吾朗に対して)少しはこっちのこと脅かしてみろってんだ」という発言を思い出す。大オジさま(駿)の提示する理想世界を拒否して超えていけよ馬鹿野郎ということ。
そして主人公は若い頃の駿でもあるから「俺も前時代を否定してきたんだから」という事でもある。そうするとあの最後の誰もいない部屋は「俺はもう行く(逝く)んだからね」という絵でもある。
なんか書き出してみるとめっちゃ説教だわ笑
でも今回最後だからかかなり「サービスカット」を詰め込んだのも感じた。少年と少女の冒険、コメディリリーフのチビキャラ、グッズ展開しやすそうなマスコット、ジブリ的おばあちゃん、おじいちゃん、ジブリメシ…あと橋が崩れたりドロドロが襲ってきたりキリがないけどそういう見てて気持ちいいやつ。
それがもう「しょうがねえな、でももう最後だからな」と言われてるようで…。
やめるやめる詐欺すごい監督だからまた撮るかもしれないけどここまで綺麗な着地を決めたらもう撮らないでほしいなあ。