このレビューはネタバレを含みます
ヤバい。予告から想像するようなエモエモの感動映画ではない。思い返して具合が悪くなるような映画。
カラオケを一緒に歌わないところ、バースデーサプライズのあとの慟哭…感動的なキメのシーンになりそうだなと思うとそっちにいかない。あの2箇所の共通点を考えると多分「いい親子」みたいに見られるのが耐えがたかったんじゃないかな。自己嫌悪っていうか自分を恥じているっていうか。
なぜそこまで恥じているのかはわからない。過去に何があったのかもわからない。セクシャリティもそうかな?と思うとこはあるけどはっきりとは明かされない。
だけど確かに娘への愛はある。それは誰の目から見ても明らか。自分が精神的に苦しい中で必死で精一杯、親であること、大人であることを全うしようとしてくれている。娘がお父さんの闇に気づけなかったのは幼かったからというのがもちろん大きいんだけど、お父さんが頑張ってそこを見せないようにしてくれたというポイントもある。それはもう…愛じゃん…。
でもその愛はそのまま「だったらなぜ!?」という問いを呼び起こす。返答はない。…返答がなさすぎる。
主人公はそうした自問自答を100万回繰り返して生きてるんじゃないかと思う。
今の主人公がこのビデオを初めて見たのか、100回見返してるのかそれもわからない。ある程度は折り合いをつけてるのか、まだ傷になってるのかもわからない。だから見終わった後も気持ちの定まりどころを見つけられなくて寝込んでしまう。
あの暗闇で今の主人公が昔のお父さんを抱きしめるダンスシーン、悲しすぎる。
ベスト10とかには入らないけど自分の中では重要で何度も何度も思い返すだろうという位置付けの作品。
久々にブルーレイ買お。