真田ピロシキ

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.3
97分。なんて素晴らしいんだろう。映画は2時間半なければいけないと思っているMARVELやDCの奴らは即刻見習うべき。今回も一切深い事を考えずに見ていられる気取らないご機嫌な娯楽映画です。ヴェノムちゃん可愛い!エディ君とヴェノムちゃんの夫婦喧嘩と仲直りを眺めニヤニヤすればいい。コスプレパーティーでエディへの未練を語るヴェノムちゃんと言ったら。仲直りにアンを仲介した事でエディとアンの関係を深めてると見るかもしれませんが違うから!カップリングはエディ君とヴェノムちゃんだから。『彼女が好きなものは』の安藤君と三浦さんがいなかったら私の2021年ベストスクリーンカップルだったね。アンは普通にダンでいいんじゃね。良い奴だし。

さてそんな愛らしい自称残虐な守護者は良いのですが、本作の敵となるカーネイジは本当に残虐でなければいけないのに、ヌルいレーティングのせいで血の一滴も見せないお優しい奴。直接見せられないなら見せられないで何かしら惨たらしさを想像させる方法もあると思うのだがそういう工夫も見当たらない。首がもがれてるのは分かるが全然エグくなくては意味がない。それなら内面の悪を表現すれば面白かったが、ジョーカーみたいな胸糞悪さや理解不能な狂いっぷりも見えてこないのでまるで魅力がない。殺人ボイスの相方がヴェノムちゃんと同じく音が弱点のカーネイジには相性最悪なのは恋愛バトル映画の本作には面白い組み合わせだったが、本体であるキャサディとこの女とのコンビは劇中で言われてる通りボニー&クライドもどきでしかなく退屈な奴らだよ。もっとこのシリーズに相応しいゆるい敵を出した方が良かったんじゃないかな。カーネイジはデッドプールにでも出して。そんな漫画読んだことあるし。もっともデップーもディズニー傘下になった今ではお行儀の良い奴にされる可能性が高いですがね。MARVELではなくDCのキャラなら『モータルコンバット』にゲスト出演して本領発揮するチャンスもあったのに残念だったな。

前作より良くなったのは弱点が音なのを今回は何度も活かしてて、殺人ボイス女は元よりまさかのダンももう一つの弱点の火属性攻撃でナイスな援護攻撃を見せ今作のボス戦はあまり退屈しなかった。ヴェノムちゃんは人間には強くても非人間のボスには大したことないポンコツだからね。こういう援護が活きるシチュエーションはツボを分かってらっしゃる。何故かバットマンオマージュがやたら多くて、家出したヴェノムちゃんが高層建築の上でポージングしてたり、ケープとマスクという台詞があったり、カーネイジとの決戦の場がバートン版『バットマン』のそれとそっくりだったりする。冒頭のゴシックホラーっぽい刑務所の雰囲気やキャサディのドス黒い過去を描いたアニメなどにもバートン味を感じて意図はよく分からない。今度のバットマン映画にアンディ・サーキスは出るみたいだがそれで思うところがあったのかな。前作ではスーパーマンネタが名前を出してされてたので、このシリーズ自体にDCをパロる方針がある?

追記:ロールシャッハテスト風のエンドロールが終わったと同時に席を立ったけどあのあと何かやってたの?そういう姑息な手を使って留まらせようとするのが本当に大嫌い。