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禁断の惑星のjonajonaのレビュー・感想・評価

禁断の惑星(1956年製作の映画)
4.0
ようやく見れた元祖SF映画。

禁断の惑星の化物の正体が、話としてはひとつてに聞いていてとても興味があったので鑑賞できて良かった。
本当に面白い設定。これをこの時代に映像化しようとした心意気も素晴らしい。

目的だったイドの化物以外の部分も意外と面白くて、古いSFなので期待値は下げてたがすごく満足できた。
よくよく考えるとゾッとする哲学的SFホラー。しかし古すぎるのでもうフェチの世界なのかもしれない。

ロビー君めっちゃかわいいな。
お話上博士の異常な頭脳とこの星の謎の文明力を測る指標にもなっててとにかく万能ロボットすぎる。食べて分析したものを無限に同じ味で再現して出すことができるって、それ神じゃん。笑

昔のSF映画らしい異世界を探索するワクワク感がある。それがこの映画の場合ロビー君やモービウス博士、その美しい娘の存在にかかってるのだが、すべては終盤のイドの化物の存在をよりよく魅せるためのフリなのだろう。紳士的な態度ながら強すぎる万能ロボットのロビーや、博士以外の人間を知らず男どもに言いようにキスされる無垢故に危うい娘の存在が一見楽しげながらどこか不安を掻き立てる。

意外と難解で、最後までみてもイドの化物が果たして本当に博士の潜在的な敵対心の具現化だったのかわからない。
なんなら主人公である船長のイドだったとしても充分説明がつくし、夢の中で化物が船を襲ってたと娘が博士に打ち明けるシーンがあることから途中までは全然娘の悪夢の具現化だったとも取れる。そういえば娘っ子に熱をあげてた船員の若者も船長に敵対心を抱いてたわけだし、つまりなにか解決したような顔をしてるがイドの化物は誰の心の中にも存在するイメージなのではないか?という至極SFらしい帰結をもって映画が締めくくられる。

潜在的に恐怖してるものが現実になる。敵対心や嫉妬などが形を持って出てきてしまう、という世界になぜか強く惹かれる。
好みの設定だった。

その為の段積みはちょっと丁寧すぎる気もするし、正直イドの化物についてもっと中盤以降に言及し始めてフォーカスするのかと思ったらラストに謎が判明するだけでその攻略等の展開は存在しないのには物足りなく感じたが、のんびり見れるのもいいところだし、その緩さをロビー君が支えてくれるので心地いい。

以前中野ブロードウェイでちっさめのフィギュアをなんとなく買ったけど、好きになったので買っといて良かった。本当ロビー君は秀逸なキャラデザすぎる…

あと宇宙船が絵に描いたようなUFO型でかわいい。まだ宇宙船のイメージが具体的でなかった時代の映画なんだな…
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