いや〜面白かった。
巨大ヒーローのエポックメイキング的地位に君臨する『ウルトラマン』。シリーズとしては未だ新作が発表されるも、所謂初代リメイクに手を出す者かいなかったのはそれだけその完成度の高さ故ハードルが高かったということなのだろうな。
スペシウム光線や八つ裂き光輪、光線白刃取り、必殺技自体の表現はオリジナルに準じたまま、生じるその結果を現行技術の粋を尽くした派手なSFXでエンタメ性を上げるあくまで特撮映画としての面白さを追求した庵野らしい「特撮愛」に溢れる一本。「特撮映画」に〈リアル〉を求めてはいけない。フルCGで描きながらも〈着ぐるみのたるみ〉や〈ミニチュアっぽい街並〉を「あえて」表現するのが粋なのだ。同じ怪獣映画でも『シン・ゴジラ』は特撮映画であり、『キングオブモンスターズ』はSF映画なのである。一種の「ユルさ」と「稚拙さ」と「手作り感」、懐古主義〈ノスタルジー〉ととられようが個人的には「特撮」はそういうモノであり、そういうモノであり続けて欲しい。
凶悪宇宙人・悪質宇宙人・宇宙恐竜、庵野厳選オリジナルからの３エピソードを組み合わせての構成。ウルトラマン現界以前の禍威獣が『ウルトラQ』(『ウルトラマン』の前身)よりの選出というのも心憎い。小ネタも随所に鏤められておりファンなら感涙モノ。物語自体は現代風にブラッシュアップされており初心者にも分かりやすいシンプル設計、ただそこまでドラマティック展開がある訳でもなくお約束で進行していくので平坦に感じてしまう方も少なくない様ですね。…だから「特撮」ってそういうモノなんだよぅ。いい意味でも悪い意味でも特撮好きの手による特撮マニアの為のウルトラマンファンムービー。万人にオススメできるかというとウーン…
「狭間にいるから見えるものがある。」のですよ。
追記
それにしてもウルトラマンのデザインは洗練されている。
目部覗き穴・背鰭・カラータイマーの消失及びボディラインの色彩変化は故成田亨のデザインを可能な限り再現した美しいフォルム。半世紀以上も昔のものとは思えない。素晴ら！
