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シン・ウルトラマンの参考文献のネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

予備知識0、ウルトラマン見たことない人間でもおもしろかったし完成度も高かったし満足度も高かった、すごい。
まあシン・ゴジラがぶっ刺さった人間なのでそれはそう。シン・ゴジラの方が完成度としては高かったと思うけど。

ウルトラマンしんどすぎでは???
バッググラウンドが全然わからないんですが、異星人を助けようとする根本的な姿勢がちゃんとヒーローのそれ。

 シン・ゴジラが「怪獣映画」だとすると、シン・ウルトラマンは「ヒーロー映画」だった。

 シン・ゴジラで暴れ回るゴジラとシン・ウルトラマンに出てくる禍威獣はどちらも災厄として表せる。また日本に出没するという特性は大地震や自然災害という印象を与える。
いずれにしても人間の力では抑え込むことができないものだ。
ゴジラの命名の際には、架空の島“大戸島”に伝わる伝説の神獣である呉爾羅と、“GOD”が組み合わせられた。
本作の禍威獣にも恐ろしい大きな力をもつという意味がある漢字“威”が用いられている。アイヌ語の神であるカムイを感じで表記すると「神威」であるように、どちらの世界でも圧倒的な力を持つ生物に対しての名前は神に由来する。
 人間は自分の力が及ばないものには神の名をつけたくなるのかもしれない。

 シン・ウルトラマンの世界線においても1体目の禍威獣が出現し暴れ回ったときの世間の混乱は、シン・ゴジラを観た人にとっては想像に難くない。
 そこで作られた「禍特対」であるが、本編は何体かの禍威獣に対処し、既に彼らの関係性が出来上がっていたところから始まる。シン・ゴジラの「巨災対」との大きな違いはこのチームの関係性にある。
「巨災対」はそもそも、巨大不明生物特設災害対策本部という一時的に設立されたものであった。ゴジラが出現してから呼ばれた寄せ集めのメンバーたちによる試行錯誤を描き、基本的に前線には出ない人々が所属していた。彼らに信頼関係や絆はなくはなかったが、強く描かれるものではなかった。
 一方で「禍特対」は、防災庁の中に設立された禍威獣特設対策室専従班という組織であり、固定された4人のメンバーで編成されていた。彼らは禍威獣が出現したら真っ先に現場に向かい、対策を講じなくてはいけない。そこに公安調査庁より分析官として浅見が出向してくる。初めて彼女が対策室に赴いた際、茶封筒が渡された。この中には「禍特対」のピンバッジとドックタグ(認識票またはそれに準ずるもの)が入っていた。これは「禍特対」が最前線で指揮をとるため命を落とす可能性があるということである。それだけ危険な任務を任されている「禍特対」において"チーム"の意識は大変重要なものとなる。

 シン・ゴジラのキャッチコピーは「現実 対 虚構」であるのに対し、シン・ウルトラマンのキャッチコピーは「空想と浪漫、そして友情」だ。
さらに、本作において"仲間"や"チーム"、または"バディ"に重きを置いていたのは「禍特対」のメンバーだけではなく、ウルトラマン本人でもあった。ウルトラマンと異星人である地球人の間には友情と言うべき信頼関係が生まれることとなる。最初は人間の考え方に興味が湧いただけだとしても。

 シン・ウルトラマンの世界において、ウルトラマンの母国である光の国から見たら地球は発展途上星であろう。
異星人が宇宙に浮かびながら普通に戦えるような進化をした理由は作中では語られていなかったためわからないが、どちらにせよ異星人から見たら地球はただのゴミ、あるいは使い捨ての資源でしかない。政治家にとって、コミュニケーションが取れる異星人が政治利用の道具であったように、異星人にとって人間は巨大化して自由に動かせる道具となった。

 そんな中でウルトラマンは人間に希望を見出し、データを受け渡し、身を挺して地球を守ろうとする。
死を受け入れながらも生きたいと願う人間について理解し難いものであるとしながらも、浅見や「禍特対」のメンバーを仲間として信頼し続けたウルトラマンはヒーローであった。
 しかし最終的に、人類の叡智を超えた存在である異星人からの攻撃を食い止めたのは人間が導き出した計算式でもある。
シン・ゴジラでも危機を食い止めたのは研究者たちの知識と関係者の総力戦であったように、2作品に共通する点から地球は人間が守るしかないと捉えることもできる。環境を破壊し続ける人間に牙を剥く災厄に対処できるのは、ウルトラマンがいない現実であれば人間しかいないのだ(多くの政治家は現実でもフィクションでも保身のことばかりを考えているが)。神を怒らせたのが人間ならば、鎮めるのも人間の役割である。

 ともかく、作中でウルトラマンが生物としては下等である人間の導き出した結論に従わなければ、地球は木っ端微塵になっていただろう。
結果、唯一人類に期待を寄せ、友情及び信頼関係を構築したウルトラマンは地球を救う。彼は人間にとって紛れもなくヒーローであり、シン・ウルトラマンは確かに「ヒーロー映画」であった。

パンフレット売り切れてて全然情報仕入れられなかったので、見当違いなこと言っていたらごめんなさい。
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