ふう

1917 命をかけた伝令のふうのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.2
やわらかな日差し 木陰
小さく咲く花たち まどろみ
本当に戦争映画かしらと思うような、穏やかな始まりは一瞬で消えて、土の色しかない世界に入っていく。あの場所から、ほんの少しはずれただけなのに。

もちろんそれはワンカット風の弊害でもあり、こんな近距離にあのオアシスはあり得ないのだけど。
今回の"ワンカット風"はリアリティよりも、ゲームの世界のような続くはずのないところへ続いていく描写が多かったように思う。
(ころころ変わる天気 ありえない距離感 )
ジョージ・マッケイの"語らない主人公"や照射弾や桜の美しい撮影も相まって、ゲームのムービーを見ているような感覚に陥る。そういう意味でとても、見やすいエンターテイメントな戦争映画だと思う。

けれど、やはり実際にあった戦争なわけで。
美しい映像からそのまま水死体の山を掻き分ける様子があったり、敵がそこにいなくてもわかる圧倒的戦力差があったり、当たり前のように犠牲があり、やり遂げても英雄にはなれない。
美しい映像に現実が差し込まれるたびに頭がくらくらする。
リアルを追及しすぎないからこその、主人公から見たこの一日が鮮明に見えてくる気がする。

友のために、友がいたからこそ戦場を必死に駆け抜けることができた彼は、とても悲しい「走れメロス」のようだった。

ピーター・ジャクソン監督のドキュメンタリーも観たいな。西部戦線に関しても無知無知なので、もっと知っていきたい。
あと、ジョージ・マッケイくんはやっぱり大好きであるということが判明したので、他の出演作も追わなければいけない。
3月もみたいだから、映画に押し潰されそう!
ふう

ふう