回想シーンでご飯3杯いける

ユ・ヨルの音楽アルバムの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ユ・ヨルの音楽アルバム(2019年製作の映画)
3.5
1994年から2005年までを舞台に、パン屋の店員とお客さんという形で出会った男女の恋の行方を描いた、ノスタルジックな韓国映画。時間の流れを描いていく手法は韓国や台湾の映画が得意とするところで、代表的な作品と言えば、あの「サニー」があるわけなんだけど、本作のテイストは当時で言うところのミニ・シアター系で、あそこまでコメディ寄りではない。

特に魅力的なのが、11年の間に微妙に表情を変えていく街の姿や、携帯電話やメールが徐々に通信手段として浸透していく時代の流れの描き方。対して、手作りの鍋料理やキムチは、時代に関係なく生活に寄り添うものとして描かれている。

そしてもうひとつ、11年を通じて2人を包み込む背景として描かれるのが、タイトルにもなっている「ユ・ヨルの音楽アルバム」というラジオ番組だ。ちなみにユ・ヨルは韓国のミュージシャンで、番組も朝の人気番組として実在する(した?)そうだ。

くっついたり離れたりを繰り返す2人がちょっとぬる過ぎるように感じるけど、KポップからColdplayまで流れる音楽の豊かさは「サニー」譲りで(日本映画だと恐らく欧米の音楽は挿入されない)、爽やかな感動に導いてくれる。