物語に飲み込れた129分。
ルカ・マリネッリの演技に圧倒された。
劇中に出てくるモチーフが船で、船乗りのマーティンの行く末を暗示しているシーンが印象的だった。
「幸せ」とは何かを考えられた作品。
「幸せは自分の心が決める」と言われることが多い世の中だが、マーティンの場合はそうではないように感じられた。作家になりたくてなりたくて必死にもがき、恋人との身分の違いにも乗り越えようとしているマーティンには目の輝きがあった。見ている側としては応援したい気持ちに駆られた。
一方で、富や名声彼が目標にしていたものを全て取り尽くしたマーティンからは何も感じられなかった。彼にとってはこのことが「幸せ」なのだろうけれども、人生を楽しんでいる人には見えなかった。空っぽの人間がスクリーンに映っていた。
就職活動真っ只中の私にとっては人生の「幸せ」を考える上で、とても役に立つ作品だった。