延々と歩く

オフィサー・アンド・スパイの延々と歩くのレビュー・感想・評価

3.5
 「ドレフュス事件」が題材の実録映画。冤罪に気づいてしまったスパイ組織の長官とその周辺の戦いを描く。監督は自身もユダヤ系であるロマン・ポランスキー。

 天才映画監督が老境にいたってぶつけてきた集大成。もう完成度なんてバッキバキですよ。世界的な映画祭(ヴェネツィアやセザール賞)で主要部門を得たのも納得。19世紀フランスを再現する映像・美術がまたいいんだよな~リッチな雰囲気で。ちょっとしか出てこない場面でも手抜かりなく、じつに贅沢に仕上げていると思う。

 主人公がつとめる諜報局は、いかにもスパイどもの巣窟という感じで陰気くさく嬉しくなってしまった。まあそこでやってんのは事務仕事だけなんだけど。

 あんま詳しくないけど監督の頭にはメルヴィルやブレッソンの存在もあったのではないか。そういうフランス映画史を支えた過去のレジェンドたちと肩を並べるレベルには十分とどいている。

 とはいえ、個人的にはそこまで乗れなかったのも事実なのだが。色々な意味でガチな作品であり、アタシのような小僧には近づきがたい感じ…内容が難しい、とかではない。
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