JunichiOoya

異端の鳥のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
3.0
なんか残酷なのは苦手やなあ、ということでひとまず原作だけ読んでお終いにしていたのですが。(小説には随分と失望させられました)
京都でギャラリーを運営する先輩は、この映画を至極気に入ったようで、周囲に消極的な評価が多いのに首を傾げて、「どこがおもしろくないのか教えてくれや」という指示をいただいたもので、遅まきながらではあるのですが、恐る恐る見物に行ってきました。

ああやっぱり、というほど原作に忠実な映画化ではありました。なので必然的にやっぱりこの映画はおもしろないわ、ということに…。

原作は(映画同様)主人公の少年目線でロードムービー風に淡々と艱難辛苦譚が語られるのでますが、それが全く子ども目線じゃなくて中途半端な大人(作家自身)目線。どうにもこうにも作り噺感満載で読んでる方に飽きが来る。

それがそのまま映画にも踏襲されたのかも。鬼太郎のオヤジの目玉や肥溜入浴なんかは原作そのままなんだけど、表現が平板過ぎて、ただの際物に堕してしまっている。

ポスタービジュアルの烏の頭突っつきシーンなんかは原作の方が冷静な描写で、あんなお笑いシーンではなかった。

確かに小説としての原作の出来栄えは大したことないので、映画にするならエピソードをぐんと絞って、ストーリーにも大きく手を入れるべきだったんじゃないかしら。

文字表現としての凡庸な作品を非凡な映像表現に化けさせるチャンスはたくさんあったと思うのだけれど。
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