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異端の鳥のtangのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
4.0
アマプラおすすめに出て来てて、内容分かってないけどジャケ鑑。

まったく背景の説明はなく、最初はどの国のどの時代なのかも良く分からない。
人の想いなどの表現もなく、モノクロで音楽もなく淡々と映画自体は進んで行く。だが、起きている事態は淡々では済まされないことばかりでこのギャップにやられる。

寝る前に少しだけ観て寝ようと思ったが、目が覚めてしまいなかなか止められなかった。

主人公の少年はラストまでほぼ笑うこともなく(コサックが吊されている所を見て少し口が歪んだ所くらいか)、凄惨な事ばかりが起こっていく。
第二次世界大戦時代の東欧の話しで戦争映画なのだが、大規模な戦いの描写どころか、戦闘シーンはほとんど無い。それでも救いようのない人々が続々と出てくる。

◆後から調べて分かったこと
・始まりの状況分からなかったが、主人公の少年はホロコーストから逃れて叔母のところに来たらしい。
 彼がユダヤ人なのかロマ族(ジプシー)なのかも分からないが、迫害されないようにカトリックに扮しているらしい。ラストの父親の様子からするとユダヤ人っぽいが。

・主人公が話さないのは、トラウマによって話せなくなったから。

・村を襲うコサックとそれを撃退するソ連軍という構図が、最初は理解できなかった。コサックの歴史を理解してなかったのだが、WW2当時は、ソビエト共産党に迫害されていてドイツ側に付いていたらしい。

・イェジー・コジンスキー(ジャージ・コジンスキー)による自伝的小説がベース。
 ただ、原作はポーランドの片田舎の設定らしいが、映画では東欧のある場所、という設定らしい。言語も架空の言語?を使っているとか。
 自伝的小説がベースなのだが、原作者コジンスキーはゴーストライターの噂、本作は盗作疑惑、著者の体験ではないという批判がある、らしい。
 それでもこういった悲劇は当時各地で起きていたのではないか、と考えさせられる映画だった。

・タイトル「異端の鳥(Painted Bird)」は、映画途中のシーンかららしい。捕獲した小鳥に白いペイントを施し、群れに返したら群れが異端と判断したのか、激しい攻撃をされて地に堕ちて絶命するシーン。
 人間社会でも異端への激しい差別があるって隠喩なのかな、、、
 このシーン、ペイントする理由が分からず、いずれ戻って来た時にエサあげるためにでもペイントして区別しているのかと思った。しかし、「村の男と関係を持った女が捕まえた鳥」を赦すことができず、このように攻撃されるのが分かって、ワザとペイントしたのかもしれない。

見終わってどんよりしたまま考えがまとまらないが、他のこの時代の映画も観たいと思った。シンドラーのリスト観てないから、それかな。
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