バリカタ

異端の鳥のバリカタのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
5.0
人間とは一体なんなんですかね?

まず、映像美が素晴らしかった。
鮮やかなモノクロ。
時折差し込まれる数々のワンショットが
時間を見事に切り取った写真や絵画のよう。
構図が印象的。見入ります。

だからこそなのでしょうか?
繰り広げられる残酷、残虐性極まる獣達の所業が非常に際立つのです。心にザクザク刺さります。
そりゃ、観ている方もどんどん目が死んで行きますよ、主人公のように。
それほどに人間という最強の獣の本性が
そのまんまに描かれます。

劇中早めに英題の意味を表すシーンがあるので
「あぁ、そうか、そういうことか」
と思いながら観ることになると思いますが、
その理解した意味に縛られて鑑賞し続けない方が良いのかな?って思います。

この映画、とにかく「人間」に焦点を当てている作品だと思います。
(表情のアップが多い演出が印象的です)
それと、幕区切りが特徴的です。

生き物として、獣としての本能のままに生活するのも人間なら本能を制御できるのも人間。しかし、不幸を繰り返す。悲しみを自ら生み出す。本能を制御できなくなったときにそれらは生み出される。
きっとそれは「罪」と呼ばれるものなのであろう。

現代には、たった独りで人類の全ての罪を背負い「受難」と「贖罪」を行ってくれる人はいない。
人間自身は「復活」はないし、死んだら終わり。
「受難」を経験し続ける他ない。
地獄である。死んだように生きるとはこのことか。

なぜなんだろう?
でもそこからはい出せるのも人間であることも確か。

我々人間は全て、「受難」しているのだと。思います。日常的に。
しかし「贖罪」のち赦され「復活」もする。・・・「人格」としての復活。
それを成し遂げるときに傍にいるのは「人間」なんだよなぁ。
それが「希望」なのか「温もり」なのか?

そのためには人間のそばにいなければならない。
独りではだめ。
そうすると集団ができる。
集団ができると・・・・・また・・・。

切ない、人間とはなぜに切ない。
でも少しの希望を胸に人生のバスに乗って
曲りくねった道を進んでいくしかないんだろうなぁ。

十分消化できていないのでダラダラ書いてしまってすみません。
この観賞後感覚、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と似ているなぁ。
あーーー、どなたかと「あれってどーいうこと?」と話したい気分です。

なお、この映画。
かなりハードな描写が多いです。
さまざまな暴力シーン、性描写、幼児虐待シーンなど苦手な方
観る際は要注意です。すぐに退場できる席にするなどの
準備が必要かもしれません。