ミーハー女子大生

マリッジ・ストーリーのミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
3.5
一組の夫婦の結婚が破綻していく過程を描いているが、それはとりもなおさず彼らの結婚を描いている。
愛し合って結婚したはずの二人がどこで歯車が狂ってしまったのか、と言えば決定的な問題はあったにせよ(夫の女性問題とか)それは重要な問題ではない。
彼らの離婚は、一昔前、いえ日本では、そしてアメリカ南部や中西部などでは女のわがままと考えられるのかもしれない。
だから、映画の舞台はニューヨークとロサンゼルスです。
妻と夫、たぶん結婚当初、妻は自らキャリアを捨て夫と共同での仕事を選んだのだろう、しかしいつからか彼女は気が付いた、それは夫の仕事であって自分の望んだものではないということに。
その上に小さな行き違いが積み重なり、人生をやり直したいという思いにとらわれる。
自分が自分であることを求めるのは妻も夫も同じ。

その妻の思いに夫は全く気が付いていなかった、よくある話だ。
息子もいるじゃないか、どうするんだ、勝手なことをいうな、とかね、こういう場合には世間は妻の人権は夫より一段下と考える、人間である前に母であれとか。
そのあたりのところ妻が依頼した辣腕フェミニスト弁護士が雄弁に語ってくれる、この弁護士妙にイケイケでハイです、なぜかってところがのちにわかりますが、この映画基本コメディが入っていますので。
お互いが納得できる協議離婚を模索しますが、案の定そうはいきません。
弁護士が入ることで事が大きくなりますが、それは必然であって夫と妻の壮絶な本音バトルになっていくのです。
攻めのスカーレット・ヨハンソンが実力のほどを見せてくれます、そして受けに回っているアダム・ドライバーが男の不器用さや切なさを見せて秀逸です。
すべてをぶちまける、その中からお互いの心の再生が始まるという展開でしょうか。

彼らには家族として積み重ねた生活からにじみ出る愛はまだ残っている、それでも修復は不可能で、でもこれからも息子の父であり母であるという円満な関係を続けていこうという爽やかな着地が心地よいカタルシスを感じさせます。

子供にとって家庭とは・・・破綻した家庭を子供のために取り繕って生活を続けることが子供にとって良いことかどうかは疑問です。
円満な家庭で育つことはもちろん理想的だけれど、子供は意外に良く物事をわかっています、こと愛情に関しては。

結婚は社会的制度です、制度が中身、愛とか絆とかより優先されることはない、社会的制度は社会的には優遇されるが、無意識に人間関係が固定観念に縛られる場合も多い。
結婚が破綻したからと言って、家族の人間関係が破綻したわけでもないし親子の愛情も続いていく。
離婚も含め人生は常に途上にあるということでしょう。
この監督の人生経験から紡ぎ出されたリアルな家族の愛情物語でした。

ローラ・ダーンVSレイ・リオッタというやたら過剰な弁護士対決には目が点になります笑

ストーリー 4
演出 4
音楽 4
印象 3
独創性 3
関心度 3
総合 3.5