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マリッジ・ストーリーのVigocultureのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
3.6
ハリウッド版「そして父になる」はこれですか?

パラサイトを見て、同じ貧困の描き方でも是枝さんは本当に優しいんだなぁ(作品としては生ぬるい思う人もいるかな) と感じたけど、そんな優しさを感じる映画でした。

ただ途中はそんなに印象に残らんかな。

作品とは別に離婚問題に触れると、
無償の愛とは「親から子へ」のみ向けられるものであって男女で成り立つものではないと身にしみますね。

男女の愛とは常に打算を孕むわけです。

女性は常に独立したいと思っているわけで、
浮気や不倫なんてものは実は直接の理由にはなりません。そもそも無性に独立したいのであり(一人の人間として当然)、ダムがいつ決壊するかでしかない。

そしてその独立を阻むためにあらゆる結婚の制度設計が女性の独立に不利益に作られていて、
男性が女性を支配する構図になっている。
支配するから独立したくなる。

なぜならその制度を作ったのは男性であり、
そもそも生理学的に子を産んだ女性は男性と共にある意味がないからですよね。

だから裁判になれば男性に有利な要素なんて基本的には存在しないわけ。アダムドライバーのように。
女性が努力して母親をしている限り親権は失う。

ドライに考えると、男性は経済的な支配をし続けて、そして女性の独立の機会を奪い続けないと実は結婚生活は成り立たない。

そのために女性に子育てを強いて男性は稼ぐ。
でも稼いでるばかりでは何かのきっかけで女性が反旗をひるがえすと全て失う。

男性にとって結婚は「所有」の枠から出ない。だからささいなことで失う。

「愛はたしかに結婚のキッカケ」。
でも
「打算」と「所有」の結婚生活は終わる。

本作では「結婚のキッカケになった愛」をいかに守り続けることが難しく大事なことか示しているように思えた。

愛がキッカケで生まれた子供は愛でしか守れないとも。

結婚という「器」を守るための制度から解放されたいものですね。
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