ノラネコの呑んで観るシネマ

キル・チームのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

キル・チーム(2019年製作の映画)
4.0
2010年に起こった実話の映画化。
アフガニスタンに派兵された、米軍新兵が主人公。
海兵隊員だった父の背を見て育ち、「正しいことをするんだ」と希望を抱いて赴任した戦場で、彼が出会ったのは見せしめで現地の民間人を虐殺する、アレクサンダー・スカルスガルド演じる冷酷な上官。
新兵ばかりのチームは直ぐに歴戦の上官に感化され、善悪の判断が麻痺。
ただ一人抵抗していた主人公も、次第にチーム内で孤立してゆき、いつ後ろから撃たれるかと極限まで追い込まれる。
やってることは完全にヤクザなんだが、体育会系の悪しきノリと言うか、マッチョな組織の陰湿さは分かりやすい。
上下関係が硬直し、ロイヤリティに重きを置く閉鎖的な組織ゆえに、こういうのも発覚しにくいんだろう。
まだ何者でもなかった若者が、血で血を洗う戦場で、瞬く間に人間性を失ってゆく展開は、ぶっちゃけ既視感満載。
だがその事実こそが、永遠に終わらない人間の罪の連鎖を象徴している。