ピポサル

バーナデット ママは行方不明のピポサルのレビュー・感想・評価

4.2
人間嫌いっていうのは過去のトラウマや信念によって意図せず発生させてしまう社会とのハレーションを、彼女自らなるべく生まないようにしている表れ。社会に迷惑をかけないようにする、とすると人と接しないほうがよいので他人と過ごすことを極力避ける、すると人嫌いが気づいたら性格になってしまい、持ち前のユーモアがいつの間にか茶化しになって情熱や真面目さが正論振りかざして相手を黙らせることになってしまう。最初はバーナデットさんさすがにやり過ぎではと思うけどこれまでの経緯を見ていくと納得感がある。そんなバーナデットが社会から断絶された車のなかで娘とシンディローパーを熱唱するシーンはめちゃくちゃ泣ける。
そしてテメェの仕事に戻って本来の自分を取り戻そうとする姿は『TAR』と重なるわけで。飛躍した非日常とも言える南極という場も重要で、生活拠点との物理的な距離、自然、エクストリームな環境で否応なく自分自身と向き合うことになる。
いま自分が観るべき映画はこれだった感が強い。
ピポサル

ピポサル