Sasada

バーナデット ママは行方不明のSasadaのレビュー・感想・評価

4.3
めちゃくちゃ好きな映画だった。抑圧された生活に苦しむ主人公が喜びを取り戻す映画で、バーナデットがイキイキしていくさまが晴れやかで美しくて涙が出た。(ケイトブランシェットすごい)

夫は理解してくれず、ご近所とはうまくいかず、なんのための仕事か分からない。置かれた場所で咲くことはできなくても、あなたが輝く場所は当たり前にあるのだということ。

前半はバーナデットにとってきつい出来事が続くけど、特に夫の振る舞いが嫌な感じだった。仕事に打ち込んでるだけなのに“現実に向き合っている”認識になるのお前、、と。むしろ逃避してんのはあんただろという。

そうやってすれ違った夫と妻では同じ出来事でも見え方が違うよねっていうのが示された上で「複雑な事情があるんだ」と言う父に対して「理解はできなくても理解するのを試みることはできる」と娘のビーが反論するのが爽快。
他者と生きるっていうのはそういうことだし、それを諦めて大人のフリをしている愚かさが刺さる。(自戒も含め)

友達にはならないオードリーとも互いに共感し合うことはできる訳で、立場が違う2人によるシスターフッドで物語が動き出すのもとても好き。ベタベタした“友情”にしない塩梅が良い。

ケイトブランシェットが天才を演じた映画でも、TARとここまでテイスト違うとは。比べるもんじゃないけど、個人的にはこういうのに心が動く。
Sasada

Sasada