ガチョビン

マトリックス レザレクションズのガチョビンのレビュー・感想・評価

3.4
結局自分が好きなのは1作目だけだった。仮想現実だという種明かし、そこを脱する為の何でもありになった仮想現実が主戦場の戦い、強力な追跡者、スタイリッシュでシンプルでわかりやすいアクション、映像。ベタだが男女の愛が招く覚醒。まるで少年漫画の読み切り漫画、セカイ系の王道系のようだが、それで良かったのである。
ザイオンの人類総力戦群像劇、その中でヒーロー・ヒロインの描写が薄れていくこと、救世主は覚醒したわりにそんなに万能でもなく、仮想現実のリセットも救世主登場も繰り返されており、今回は終止符を打つべく自己犠牲による世界救済という非業の死を遂げる尊さ〜でEND、など、期待している内容ではなかった。
本作は比較的1作目に近い構成で、上記のような期待していない要素は比較的減り、二人のヒーロー・ヒロインに焦点を当て直した点は原点回帰気味で良かった。しかし、3部作理解を前提とした上での現状説明は複雑で、わかったようなわからないような感じ。役者交代、前作の登場人物が何十年後も経過して老人となって出てくるも「誰だっけ?」となる点も混乱に拍車をかける。
結局それらがほとんど分からなくてもついていけるように戦いは、劇は進んでいく。しかし、映像技術が発達しすぎたせいか、主役があまり若くなくアクションもしなくなったせいか、シンプルなスタイリッシュさはなく、暗い画面でゴチャゴチャ動いている感じだけでこれまた楽しくはない。盛り込みすぎたのでは?
未消化の部分を多く残して最後に得る感想は「色々あったみたいだけどヒーロー・ヒロイン復活で良かったね!やっぱ愛が勝つ!」というありきたりなもの。しかし、それは1作目でもうやったことである。
確かに、最も重要な主役二人の死をなかったことにして復活させられれば続編は続けられる。だが、主役二人はもう高齢であり、今後ここから派手な動きの話など作れそうにもない。抜けた俳優も含め、絵になった当時のメンツと若々しさ・オーラはもう無い。
ここからまた最初の3部作のようなことをすれば、1作目のテーマからまた逸れたSF戦記物になっていってしまう。できることなら、別の作品を作って欲しいなと思う。三部作なんかにせず、一作完結で。シリーズだし一応全部観てるなら観たらいいかもね、くらいしか言えない。