ガチョビン

クーリエ:最高機密の運び屋のガチョビンのレビュー・感想・評価

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邦題がダサい。あれっ、冴えない体型のカンバーチッチだ、となるが、後半、役者根性を見ることができる。表情の演技は安定。
エニグマと同様、世界平和に貢献した影の役者を世間に紹介し讃える映画である。ただし、実際には何年も訓練を受けてクーリエ役に臨んだことなどは劇中ほぼ省略され語られない。ロシア側の残酷な尋問、監禁、そしてロシア側情報提供者(アレックス)のその後などについても(東側の事で事実が判然としないので仕方ないが)、サラッとした描写で済ませていく。背景説明のCIA、MI6、キューバ危機も最低限。
メインは、そうした極めて特殊な環境での男二人、クーリエとアレックス、特に主人公側は「普通の人」として、どう関係を育み、事に挑み、危機に瀕してなお互いを重要な親友であると考え続けたかという友情物語部分ではないかという印象。
で、そこを主眼とし、地味なスパイ活動、地味な悲惨な尋問部分を取り除いて作品を観ると…正直なところやっぱり地味な感じが否めない。
お互い唯一無二で替えのきかない役、他の選択肢は選べない環境なので、恋愛映画で言うなら最初から赤い糸で繋がれているかのような。運命が選んだ相手同士で相性マックス、好感度200%みたいな状態で最初から最後まで続く。二人の仲が段階的に深まっていくという描写もあまりなく、そこが単調さに拍車をかけている印象も。
全て含んでの作品なので、それを友情モノと世界を救う活動をした部分を分けて前者だけで描写に乏しく評価が低いなどと言うのもアレなのだが…
まぁ、カンバーチッチが好きだとか、そういう史実があったのをフィクションベースの創作で知ることに興味がある人にだけ良いかなという印象。
友情ものということなら、もっと丁寧にやり取り描写している映画はいくらでもあるのではないかと思う。