【あなたと夜と音楽と】
チェット・ベイカーの最期の日々を辿る。
心の琴線に触れる、トランペットと歌声。
細やかに再現される息継ぎや口の音にもジーンとしてしまう。
音楽を発するあなたは天使のようであり、音楽から離れたあなたは悪魔のようである。
破滅的な人生から生み出される、あなたの音楽に、僕たちは感動を覚える。
愛を求めながらも、愛させてあげられない。
どうしようもない孤独が、やはり、あなたに死をもたらしたのですか?
傷ついたことのない男など男ではない。
傷ついた心を優しく包み込んでくれるような、あなたの音楽。
夜の静寂で、僕たちの心に沁み込んできます。
主人公の刑事が、あなたと共鳴し同化し、どうかしちゃっていくのも頷けます。
おそらくこれはチェット・ベイカーの魅力・真髄・原点を知り尽くした人が作った作品なんでしょう。
閑さや、心に傷を負った男性ジャズファンだけにしみいる、チェットの声。