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マザーレス・ブルックリンのjonajonaのレビュー・感想・評価

マザーレス・ブルックリン(2019年製作の映画)
3.9
もし…!もし…!もし…!

探偵ハードボイルドでありながら、主人公がチック症で緊張や興奮によってつい思わぬ言葉がでてしまうキャラクターなのがとてもユニークで魅力的な作品。

ボスのフランク(ブルースウィリス!)が殺されてから彼のチック症で発する口癖が『もし…』になっていて、彼の言い表せない後悔として映画全体に貫かれている。部屋に帰って1人でコートを脱いでいく時にもずっと発作的に連呼してるのを窓越しに見せるカメラワークが痛々しく素晴らしい。

バーでジャズに乗って彼女と抱き合ってダンスするシーンもとてもよかった。チックを気にして帰ろうとする男を引き止めてダンス。安らいだ顔いいね。ミュージシャンが語る、ジャズとチック症を止められない衝動=エネルギーとして同列で捉える考え方が素敵だった。

チャイナタウンのような利権絡みの街に渦巻く陰謀を追う王道の探偵もので、この手のは途中から人名が多すぎて何がなんやら見失いそうになるのが常である。けれど本作はユニークな主人公が慕ってた親代わりのボスの死の真相を探るという話になってていいかんじに物語を牽引してる。飽きずに観られた。

監督脚本主演まで、全部やってのけたエドワードノートンの力量に驚いてしまう。超安心して見られる演技の質の高さと別に、世界観を担う背景美術の細やかさも素敵な映画を見ているという幸福感を誘う。
最後ちょっと訳わかんなくなったし、なんななぁなぁに終わった感も否めないが楽しかったのでOK!
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