Smoky

ザ・レポートのSmokyのレビュー・感想・評価

ザ・レポート(2019年製作の映画)
3.5
スティーブン。ソダーバーグ監督と組んで『サイドエフェクト』や『パナマ文書』、コロナ禍で最注目された『コンテイジョン』など社会派ドラマのシナリオライターとして名を馳せ、最近では『007 ノータイム・トゥ・ダイ』の脚本も担当したスコット・Z・バーンズの監督作品。

911テロ後にCIAが行った「強制尋問」(拷問という言葉を使っていないのがミソ)の実態を丹念に調査したレポートを巡って、CIAの妨害や政治家たちの駆け引きの道具にされながらも公開に向けて奮闘したダニエル・J・ジョーンズを描いた実話。

目には目を、テロには拷問を。ジャック・バウアーが人気を博したように、人間の自然感情である復讐心と、米国人が大好きな魔法の言葉「National Security」の名の元に行われた行為を糾弾することの難しさがよく伝わってくる。

アダム・ドライバー、ジョン・ハム、アネット・ベニングという名優を起用しながらも、彼等の演技力が十分に引き出されなかったのが残念…というか、この実話を前にしては仕方ないかな?というのが正直な感想。

黒塗りの下にある文字。大事なのは「何を語っているか?」ではなく「何が語られなかったか?」なのだ。
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