けーはち

MONOS 猿と呼ばれし者たちのけーはちのレビュー・感想・評価

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)
3.6
“Monos”とはスペイン語で「猿」──人間も結局は一皮剥けば野獣、といった少年兵たちの織り成す南米コロンビア産の人間ドラマ。戦闘目的などは明確ではないが、米国人の人質を管理して自然の中で過酷な訓練をこなしながらサバイバル生活をする少年少女で構成された戦闘員たち。ストーリーは彼らが少しずつボタンの掛け違えから瓦解していく『蝿の王』のような類型。最終的には野猿の群れのように暴れて人里に襲来するも、ただ群れから逸れて外界の大人に保護された子だけは、人間の子供らしく泣きじゃくりつつ文明社会に帰還……といった想像には難くないものではある。しかし、前半は四千メートル級の岩山の連なる荒涼とした高山地帯、後半は鬱蒼と茂る密林にその間隙を縫って走る大河の流域が舞台となり、雄大なる自然の美景と脅威とが存分に詰め込まれた映像。コロンビア産の御当地サバイバルドラマとして素材の味で食える逸品である。自然はかくも優美で残酷。人間が理性を保つにはそれをコントロールしなければならないのだ。