けーはち

スターゲイトのけーはちのレビュー・感想・評価

スターゲイト(1994年製作の映画)
3.2
古代遺跡を解読したらそこに未知の惑星への扉が──エジプト古代文明に対するエキゾチシズムから連想した砂の惑星を舞台に、奴隷制・独裁への民衆の蜂起を米軍が煽動する80〜90'sらしい大味SF。砂漠の民≒イスラム聖戦士で「ランボー3/怒りのアフガン」を連想するが、本作はより素朴な太陽神ラー信仰の民が宇宙人に騙される構図。そこへ現れたアメリカの超天才言語学者が彼らの言葉と記号を解明し、軍人が武力を持ち込んで吹っ飛ばす。ソ連が倒れベトナムの記憶も薄れ、喧嘩上等、比類なき世界最強の正義を信じて疑わぬU.S.A.万歳のある意味最もピュアで幸せな時代の空気が満載な単純明快エンタメこそ、本作や「インデペンデンス・デイ」の頃のエメリッヒの持ち味である。それが9.11後は一転、「環境破壊で異常気象。人類文明はツケを払え‼︎‼︎」な「デイ・アフター・トゥモロー」へ転調。そこに主義主張は一切なく、需要を全力で形にする職人芸のみが存在するのだ。