けーはち

ダイ・ハードのけーはちのレビュー・感想・評価

ダイ・ハード(1988年製作の映画)
4.5
気忙しいクリスマスにヌルッと始まる立てこもりテロ事件に巻き込まれる刑事。同年代アクションスターのように鋼の肉体でも無敵でも2枚目でもなく、妻と別居中の若ハゲ(当時)で、ビルの空間を縦横に生かすゲリラ戦の立ち回りを見せる傍ら、身の不運を嘆く情けない泣き言をボヤく主人公の破格の人間らしさが魅力。正体不明の犯人、攪乱される警察やFBI、TVに追い詰められる中、無線で会話しただけの主人公に刑事として信頼を寄せ、相棒となる地元警察の黒人刑事との関係性が一服の清涼剤。当時飛ぶ鳥を落とすの勢いの日本企業に転職したバリキャリ妻が「既婚女性は日本企業で出世出来ないので旧姓で働いている」という昭和日本を感じる設定もクライマックスへの盛り上がりに一役買う。閉鎖状況、ビル一棟の中でカーチェイスもなく騒動の規模を高めて盛り上げるアクション映画は画期的だったようで、単純明快に見えて巧みな造り。後のアクションスリラーの代名詞となる傑作。