えむ

WAVES/ウェイブスのえむのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
3.6
劇場公開時にこのポスタービジュアルの美しさに惹かれて気になっていたもの。

実際に見てみて、映像とかカメラワークとかは独特で美しかったです。
音楽も良い。

ただ、兄がメインだった前半のストーリーはとにかく重苦しくて、救いがない。
前半で破壊して、後半で妹で再生するつくりとはいえ、丸々半分この泥を飲み込んだような重たさは少々辛いものが・・・

とかく才能にも家庭環境や裕福さ、恋人にも恵まれていて、そこから突然転がり落ちていくのは辛いものだけど、どうにも「結局恵まれてるが故にどこかで考えの甘い坊ちゃんなんだな」ってなってしまう。

挫折を知らなすぎるというか、あまりになんでも上手くいき過ぎ、周囲の手助けでなんとかなっていたんでしょうか、「与えられ過ぎていた」人独特の感性というか、一旦挫折した時の「自分だけが可哀想」みたいな態度にはどうにも「まあ自業自得なとこあるもんなあ」と、すんなりとは共感できなくなっちゃうのです。

ていうか、若いとはいえ、彼女に対してもっと話きちんと聞いたり、事故ったらせめてすぐ助けようとしなよ、って思っちゃいました。
(そういうとこがね、自分可愛さが優ってて甘ちゃんだな、とね・・・笑)


逆に妹の再生の物語に入ってからは、人同士の寄り添いが描かれていて、V字回復。
こっちは人の気持ちの暖かさや想いが感じられて共感できる。

あの前半のまま引っ張られず、ちゃんと着地してくれて良かった。

ルーク偉いぞ、グッジョブ。
えむ

えむ