ドイツは死刑制度を廃止したのですね。死刑を無くしたドイツだからこそ、報復で人を殺めるという行為の非正当性について、この映画のように論理的に訴えることができるのかも知れません。
印象的なのは、事件のことを一切語ろうとしない被告人コリーニ。その「物言わぬ存在」こそが、この作品で最も問いたかった事のような気がしますが、彼の生き様や、なぜドイツに暮らし続けたのか、そういった気になるバックボーンはちゃんと語られず、少し消化不良に終わりました。
さして重要な意味を感じなかった弁護士周辺のエピソードはいいから、彼の半生をもっと掘り下げて欲しかったな。