<概説>
辺鄙な山奥で連続する猟奇殺人。被害者のほとんどが首を刈られ、容疑者はその都度狂気に陥る。この陰惨な事件の真相を追ううちに、刑事は予想もしない狂気的真相に辿り着くことに。
<感想>
イミワカンナイ!
イミワカンナイ!
イミワカンナイ!
視聴直後はその独特すぎる作風に疑問符でいっぱいになっていました。さすがある視点部門ノミネート作品。
とはいえ意味不明でも視聴中に退屈はしませんでした。
まず映像の主眼が人為と自然の対比になっているのはなんとも一時期のカンヌ関連作らしい。『ロゼッタ』や『ツリー・オブ・ライフ』を思い出して、こういうのが好きな審査員がいるんだろうなと映画賞に考えをめぐらせるのは楽しいものです。
次に所謂高尚なホラー映画というのがいかなものか。これをカンヌ関連作品というものから考えてみるのもいい。
あくまで作品では解説せず。
事象のみを観客に突きつけ。
怪物の造形は従来のグロテスク系。
特に怪物については日本内での印象と異なり、グロテスク=インモラル&下賤とならないのは意外ですよね。ついでに本作の怪物は視点次第でセクハラジョーク寄りですし。
それとももうひとつの長所である、そもそもの美麗な映像力こそがこの下世話を可能にしているのでしょうか。
その意味では本作はまさしく総合芸術作品。
映画がどんな芸術であるかはいまも議論の的になりますが、これも真摯に鑑賞すると問題提起の良作である気がしますね。単純娯楽映画としては赤点寄りですけれども。