キナ

マーダー・ミー・モンスターのキナのレビュー・感想・評価

1.2
やる気出せ!シャキッとせえ!ハキハキ喋れ!貴様の情熱はそんなもんか!

開始10秒、メェメェと鳴く羊たちの中に佇む女とその只事ならぬ傷に大いに興奮した。
それがこの映画のクライマックスだった。

全編スローモーションで上映してんのか?と思うくらいに全員の動きが遅い。喋りも遅い。
ノロマでポエミーで曖昧で抽象的で、何がしたいのか、何を言ってるのかわからない。
解決に走るでも恐怖に溺れるでもない、中途半端すぎるストーリー。
とにもかくにもイライラが止まらない。

首が締まるような不穏や、聞いているだけで嘔吐感が込み上げてくる叫び声などは好き。
好きなんだけど、それを遥かに凌駕する苛つき。
ストレス耐久レースムービーなのかもしれない。

僅かに残った興味だけを頼りに、白目剥きつつなんとか観ていたけれど。
「エェム…エェム…エェム…」と言われるたびに「ファックファックファック!」とリズミカルな合いの手を心の中で入れてないとやってらんなかった。

モンスターのビジュアルを目にして、やっと少し気分が上昇。
あらやだぁ…すごく…性器です…。
なんで?なんなの?キモくて好きだけどなんでこのモチーフにしたの?
後ろ姿はさながらムーミン。ぽてぽて歩いてんじゃないよ!かわいこぶってんじゃないよ!性器のくせに!
あと口臭ヤバそう。

この映画が意味することもストーリーもわからない。何も伝わってこない。
考察するのも想像するのも面倒くさい。
音楽が全く合ってないのも気になった。
エンドロールとかもうギャグなの?
不倫妻の眉毛がものすごく山なりで左右繋がっているので、序盤の左右対称の山風景のイメージシーンは彼女の眉毛を表しているのかなと思った。

最近の私はそんなに合わなかった作品でも「まあここは好きだし面白いよね」と思ってまあまあ楽しめる傾向にあったのだけど、自分でもびっくりするくらい「面白くないな」としか思えなかった。
ホラーテイストならなんでも好きなはずなのにね。悲しい。

これは作品自体に罪はないんだけど、ご丁寧なボカシの働きっぷりにも萎えてしまう。
別に私は股間が見たくてたまらないわけじゃない。いや見たいっちゃ見たいけど。
映画というものは画面に映るもの全てが表現だと思っていて、それを規定だかなんだか知らないが勝手に隠されてしまうことに不満を感じるのである。
他人の勝手な意向で、映画の中にあるもの全てをそのまま受け取れないストレスといったらもう。

途中からだんだん主人公クルスが嫌いになり彼自身を生理的に受け付けなくなってきて、股間は良いからクルスにボカシかけてくれ、などと酷いこと考えてしまった。
あとモンスターには全身ボカシかけるべきでしょ。いやそんなことされたら悲しくて泣いちゃうけど。
頻繁に人間の股間を映していたのもあのモンスターに繋げる意図があったのかもしれないのにな…。

最近仕事関係で鬱々としていて、それを忘れるためにも映画を観ているというのに、このような作品に貴重な睡眠時間を噛み取られたかと思うと情けなくなってしまった。
まあいいけど。楽しめなさすぎる映画を観られて良かったなあという気持ちでしかないよ。