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失くした体のditaのレビュー・感想・評価

失くした体(2019年製作の映画)
4.0
@塚口サンサン劇場   

手は口ほどにものを言わずとも、手の感情がバシバシに伝わってきて、手好きとしてたまらなかったし、何故かずっと泣きそうだった。って何書いてんだかって感じやけど、観ればたぶん伝わるやつ。

人間は触れたものや触れた人の温もりを忘れないし、たとえそこにいなくても、聴こえる音であなたの姿を思い浮かべられる。飛べないことなんてわかってる。離れた心と離れた体が再びくっつくことは難しい。それでも、想像力が現実社会に追いつき、重なり、そして傷付いた人間が前に進むための足掛かりとなるってめちゃくちゃ素敵だと思った。

相容れなくても、住む世界や住む場所が違っても、ほんの少し耳を澄ませて、ほんの少し想像してみたら、映画も人もこんなにも優しくなれるし、豊かになれる。写実に拘るアニメーションも素晴らしいと思うけど、やっぱりわたしはこういう五感を研ぎ澄ませて観るアニメーションが大好きだ。
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