洋タルト

仮面病棟の洋タルトのネタバレレビュー・内容・結末

仮面病棟(2020年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

(^^)中々に凝ったミステリー作品!
物足りなさもあるが良作!

ミステリーは好きですが、正直この作品もテーマだけだろうと思って全く期待していませんでした。
しかし、思っていたよりも楽しむことができましたね。

少し方向性は違いますが、全体を通してみるとカメ止めのような印象を受けました。
カメ止めの場合、最初の方は非常につまらないですが、後半はうってかわって爆発的に面白い展開になります。
この映画も、序盤は確かに少しハラハラ感はあるものの、やはり物足りなく感じるのですが、その序盤に伏線をばら撒きまくったおかげで後半には多くの伏線回収を見事に果たすことができ、謎解きの快感を大きく得ることができました。

この作品については「仮面」「ミステリー」「13」の3つに注目してレビューしていきたいと思います。

「仮面」
自分が今回とても関心したのがこの部分でした。
病院を占拠した犯人の被っていたピエロの仮面。右の口角が下がり、左の口角が上がっているデザインとなっていたのですが、これが物語の中で犯人の心情を描いているかのように映されていました。

犯人に余裕がある、犯人が優勢である部分では右の口角があまり見えないようにし、まるで笑っているかのような角度から撮影。
逆に犯人が何かを察した時や、危ない状況になりかける時には左の口角が見えないような角度から撮影。

そうすることで、仮面が犯人の感情とリンクしているように感じられ、このような仮面を小道具にしたのは見事だったと感じましたね。

「ミステリー」
この作品はミステリーとしての価値は非常に高いです。最初からドンドン伏線をばらまいていって、最後に向けてそれらを鮮やかに回収。

わかりやすいくらいのミスリード、あからさまに焦りまくって何かを隠してるということを隠す気すらない3人の医者など、気になる点はあったものの、トリックや謎も「ここで終わりかな」という部分を超えてからの盛り上げ方には驚かされましたね。

今作の「ここで終わりかな」という部分で終わったのがスマホを落としただけなのにでしたが、今作ではそこを超えたあとの展開が素晴らしく、大きく差がつきました。

「13」
今回の賛否両論の部分ですね。彼女自体、田所病院の医者に大切なものを奪われたという恨みがあったのですが、この結末がどうもスカッとしないとも感じました。

まず、仮面の共犯の人物については彼女に対して協力的で、目的や過去の経験も似ていたにも関わらず、彼女は殺す覚悟がないということで彼を殺し、犯人に仕立てあげました。この部分でまずモヤり。
共犯者はずっと13のために犯行を行っていたにも関わらず、「殺せないから」という理由で、そこまでの躊躇いもなく殺したのには少々共感できませんでした。

そして、ラストの半年後の光景についても、綺麗に纏めましたという風には見えるものの、結果的に人を殺した13は自主せず、今も罪を償わず暮らしているという事が表されており、真実がもみ消された感じがしてモヤっとしましたね…。

以上がこの作品のポイントでした。
ラストの展開、序盤から中盤の盛り上がりの少なさが残念でしたが、ミステリーとしての出来はかなり上位に入るレベルでした。

総合すると、もっと盛り上げることができた惜しい作品のように感じるものの、坂口健太郎の演技力やミステリーとしての上質な出来、そして仮面の使い方のうまさから、観てよかった作品でありました。
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