Scriabin

情事のScriabinのレビュー・感想・評価

情事(1960年製作の映画)
4.0
シネフィルたちの記憶に残っているのも納得。愛の不毛三部作の最初にして頂点の作品?たぶん「愛の不毛」を一番イメージしやすいのはこれだろうな。あとの2つの方はむしろ不毛を体感する感じ。まだまだ音楽が使われている感覚がある。掴みはばっちりだしクイーンズ・ギャンビットのときのアニャみたいなシーンもサービス精神満点。ラストもメロドラマばりで完璧。終始無表情なモニカ・ヴィッティしか知らなかったから、これはかなり斬新。というかこれが普通の女優の姿なんだろうけど。
うまい!と思わせるけど、好きとは言いたくない何かがある。アングルといい構図といいショットの構成といい何から何まで計算された映像表現。これに幻想を足したりプレイを足すとフェリーニやヴィスコンティになるんだろうな。ドライヤー、小津、レネ、ゴダールといったいわゆる映画史上の監督たちの映像ともリンクするあざとい画面。とはいえ、教会の屋上のシーンは若者のすべてのミラノ大聖堂のシーンに被って見えたり、セレブたちの日常に密着するところとかは甘い生活と共通していたり、イタリア映画の一部であることも思い出させる。正直、素性の分からないクラウディアがその不審さによって階級性を表しているところが一番面白かったとすら言える。
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