Inagaquilala

マニャニータのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

マニャニータ(2019年製作の映画)
3.5
東京国際映画祭で観賞。顔に傷を持つ女性スナイパーの物語。アクションが続く作品かと思っていたら、まったくその予想は外れ、自分の意志とは関係なく、軍隊を除隊させられた女性主人公の日常が、ゆったりとしたテンポで描写されていく。狙撃手として抜群の素晴らしい腕を持っていた彼女が、なぜ軍をさることになったのか、その理由は彼女にとっては理不尽なものだったに違いない。そこで彼女は生きる目的を別なものに向けていく。その心の移り変わりを、カメラはゆっくりと彼女の行動を追うことで表現していく。退屈というレビューも多く聞かれるが、自分にはなかなか緊張感もあり、悪くはなかった。

「マニャニータ」というのは、フィリピンの政府と警察が繰り広げる麻薬撲滅作戦の名前らしいが、ラストで、その意味が大きな意味を持ってくる。いつ、女性主人公が行動を起こすのか、ずっと見守っていたが、それがこの作品が持つ最大の意味ではないだろうか。いわば、復讐劇の一種ではあるが、それを逆手にとった物語の結末は、なんとも考えさせられるものがあった。フィリピンのポール・ソリアーノ監督の作品。脚本と製作は、フイリピンを代表する映画監督のラブ・ディアス。
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