インターネットのおかげで世界が身近になり、人の心も容易につながっているような錯覚を抱いてしまうことはしばしばあります。
人とのつながりが双方向に伸びた矢印ではなく、一方向の線かもしれないという不安は現代的な感覚かもしれません。虚無を愛し、欲しているだけなのかもしれないという怖さ。
人と人との直接的なつながりが渇望されているこのご時世もあって、よりリアルタイムな映画のように感じましたが、愛という幻想を追う人々の複雑な心情をサスペンスタッチで描く普遍的な物語でもあります。
無様で哀しくて人として間違っている登場人物たちの姿のなかに、人間の孤独や愛への渇望や秘めた欲望の炎を見ました。淡々と見つめる視線がクールな映画でした。