ぶみ

悪なき殺人のぶみのレビュー・感想・評価

悪なき殺人(2019年製作の映画)
4.0
コラン・ニエルが上梓した『Seules les bêtes』を、ドミニク・モル監督、ドゥニ・メノーシェ、ロール・カラミー等の共演により映像化したフランス、ドイツ製作のサスペンス。
フランスで起きた殺人事件を、異なる視点で描く。
殺された女性と、事件に関連する五人が登場し、物語は章立てで展開、その章毎で視点が変わることにより、一体何がどうなっているのかを一つ一つ解きほぐすように見せてくれた結果、見事全てが繋がるラストは想像の上をいくもので、脚本と演出が見事にハマっている。
また、冬の人里離れたフランスの山村を舞台とした寒々とした映像は、北欧ミステリを彷彿とさせるもので雰囲気抜群であると同時に、西アフリカのコートジボワールが対局的に登場する展開も謎が謎を呼ぶこととなり、その構成の巧みさに舌を巻く。
ただ、原題が『Seules les bêtes』、英題が『Only the Animals』と、いずれも『動物だけ』と訳されるのに対し、興味をそそられる反面、観終わると若干的外れな邦題が残念なところ。
流石に出来過ぎとも言えるような物語ではあるものの、それも偶然の産物と考えれば悪くなく、わかっていながらも真実と事実の違いを突きつけられるとともに、サスペンス、ミステリ好きには是非おすすめしたい良作。

偶然には勝てん。
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