永遠の寂しんぼ

約束の宇宙(そら)の永遠の寂しんぼのレビュー・感想・評価

約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)
3.5
『約束より大事な規則もあるよ』

可もなく不可もなくといった感じ。
宇宙へ “行くまで”のお仕事ムービーとしてはバッチリだけど人間ドラマとしてはややありきたりで外連味が無い。

ESA(欧州宇宙機関)が全面協力してるだけあって主人公サラ達の施設での訓練シーンは充実してて良かった。流石にロケットの発射シーンは本物の映像を流用してたけど。他のクルー達と口論になったりするものの最終的には励まし合う感じだったのも安心感はあったかな。宇宙飛行士の映画だと『ファースト・マン』や『ゼロ・グラビティ』などがあるし、宇宙飛行士とその娘の親子愛を描いてる点では今作は『インターステラー』によく似ている。が、あくまでこの映画は宇宙へ行くまでの訓練の話なので宇宙で活躍する宇宙飛行士やSF要素を期待すると確実に肩透かしを喰らう。でも僕の知る限り女性の宇宙飛行士を描いた映画は今作が史上初な気がするし、子育てを中断してでも夢に向かはなくてはならない母の葛藤をちゃんと描いてる分十分作った甲斐ある作品だったと思う。

ただやっぱり問題なのはサラの自分勝手な部分が結構浮き彫りになってしまっていること。娘のステラが大事なのは分かるけど訓練に支障をきたしたり私情を持ち込んじゃうのはフィクションとはいえダメでしょとは思う。特に終盤のアレは完全にアウト。一応アレをフォローするシーンはあったけど特に今コロナ禍でもあるわけだし、あれはフィクションだからで許容できる範囲を完全に超えちゃってる。

それと、今作の原題”Proxima”はラテン語で”最も近い”という意味であり、星に関係する言葉でもあるし、今作のサラ達が参加する宇宙ミッションのタイトルでもある。観る前はこの”Proxima”がサラのステラに対する『離れていても心は一番側にいるよ』みたいな意味になると予想していたが、特にそんなことはなかった(苦笑) 。なんでこんな邦題にしたんだとちょっと不満だったけど、確かにこの映画は約束がテーマのお話だったのでこの邦題で文句なしです。