永遠の寂しんぼ

ノイズの永遠の寂しんぼのレビュー・感想・評価

ノイズ(2022年製作の映画)
4.0
『腐敗の臭いがするなぁ・・・』

あんまり評判良くなかったけど個人的には結構楽しめた。ただし原作は未読。どうもこの映画は原作からの改変が多いらしく、それで不評なのかな?
わざとらしいというかベタベタなキャラ造形の刑事と劇伴音楽のくどさを除けば、すごく面白かったし良作だと思う。死体の隠し場所がバレそうになるハラハラ感はよかったし、人間の弱さや舞台となる島の閉鎖的で醜悪な人間界をしっかり描いているのがポイント高い。僕自身田舎で育ったこともあって、この映画での「反吐が出る仲間意識」に関してはだいぶ思うことがあった。田舎の人間(特に年寄り)は排他的でよそ者を受け入れようとしないし、自分たちも利益のためなら人としての倫理観を軽んじてもいいみたいな風潮も分かるなぁって感じだった。

藤原竜也演じる主人公の立ち位置がとても興味深かった。言ってしまえば彼は無意識下で自分自身を島に縛り付けている。事故で親を亡くしたことで他の島民に支えらえ育った過去から、「自分は島に貢献し続けなただばならない」と己に呪いのような精神的束縛をかけてしまっている。そんな彼と妻、そして松山ケンイチ演じる親友の閉鎖的環境下での三角関係はある種の思考実験を見ているようで面白かった。ラストの展開も、閉ざされた島でなら起こりえるなぁと個人的には思う。僕は自分の性格的に人間の愚かさや醜さを描いている映画は好きだ。

役者陣はベテラン揃いだけあってもちろん文句なしの演技だったが、一番印象に残ったのは神木隆之介かな。島の平和を守りたい純真な彼が精神的に追い詰められていく様がよく演技から伝わってきた。

ただ藤原竜也の最後のあのセリフは完全に意味不明だったな。あれは原作を読んでいたら分かったりするのだろうか??