アメリカン・ドリームを求めて未開の地にやってきた料理人クッキーとキング・ルーは意気投合し、一匹しかいない牛のミルクを盗みドーナツを売る商売を始める。
優しくて穏やかな料理人クッキーと野心家で商売上手なキング・ルー。
正反対に見えるふたりの何気ないやりとりや雰囲気に癒される。
この映画は柔らかくて優しいところが素敵で、不思議な魅力に惹きつけられる。
ゆるい音楽に美しい映像、永遠に続かないドーナツの商売の儚さや、叶いそうにない夢を語り合う二人。
ゆっくり進むストーリーは観やすくて分かりやすく、気付けば好きになってしまう映画センスが光る。
クッキーの話す言葉やペースは特に癒されるし、雌牛に話しかける言葉もどれも優しくて心が温かくなる。
好きなシーンはキング・ルーの家に招かれたクッキーが、くつろいでいていいよと言われても家を片付けたりお花を飾るところ。
毎日会いにいく牝牛に懐かれてしまい、バレてしまうのではないかと苦笑いするところ。
こんな時間がずっと続けばいいのに、商売がうまくいって夢が叶って欲しいと願ってしまう。
最初から最後までずっと魅了される、唯一無二の映画で忘れられない。