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ジャンゴ 繋がれざる者のpariraのレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
4.1
長いし、グロだし、モロ差別だしなので人を選ぶ作品。私はまさかのとても好きだった。他の作品も改めて観てみようと思う。
初見の方は、大人数でガヤガヤ観るよりは、気心の知れた少人数の友人や、カップルでボーっと観る方が良さそう。
途中で好き嫌いをボソッと言い合えたりする仲の人と、ポップコーンをお供にどうぞ。
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「D」は発音しない。(格好いい)

黒人奴隷として農園をたらい回しにされていたジャンゴは、賞金稼ぎのドイツ人、ドクター・シュルツに「自由と引き換えにとあるターゲットまでの案内役を務めて欲しい」という取り引きを持ちかけられる。
風変わりだが腕が立つシュルツと行動を共にするうちに、賞金稼ぎとしての類い稀な才能を開花させていくジャンゴ。金を稼ぎ、腕を磨きながら向かう2人の最終目的地は、ジャンゴの生き別れた妻の現在の所有者である暴君ムシュー・キャンディが営む大農園。
合法的に妻を買い取る為には、キャンディに取り入る必要がある。心を鬼にして他の黒人奴隷達を踏み躙るシュルツとジャンゴであったが、あと一歩の所で計画がバレて窮地に陥ってしまう。
壮絶な銃撃戦の末、再び奴隷として拘束されてしまうジャンゴ。果たして目的は果たせるのか!?
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タランティーノ監督作品って気付かずに再生した。そういえば、集中して一本ちゃんと観終わった作品は初めてかもしれない。
「キル・ビル」は昔過ぎて覚えてないし、「イングロリアス・バスターズ」は途中でテンションについて行けなくなった気がする。笑
だからオープニングで監督の名前が出た時に「んーーー大丈夫かなぁ?笑」って感じだったけど、有難いことに杞憂に終わった。
結構長い作品だと思うんだけど、中弛みしないお陰で変に粗探しする暇が無くて良かった。かといって終始血みどろドンパチしてる訳でもないからそんなに疲れない。なんなら途中まで「あれ?こんなに血が少ない作品も作るんだ?」って思ったくらい。えぇ、この感想は間違いですとも。笑
でもそれでも、うろ覚えな他の作品のイメージと比べたらそこまでグロくないんじゃないかな?知らんけど。笑
時々出てくるシュールな顔のアップとかカメラワークで「あぁ、こんな感じだった気がする」と思った。

時代背景があるので差別主義ゴリゴリ。最初から最後まで「Nワード」出まくり。放映当時大丈夫だったのこれ?笑
この時代に日本で生きる日本人の私には教科書以上の想像ってなかなか出来なかったから、(もちろん映画として大いに誇張はあるにしろ)「特定の人種を同じ人間として認識することが出来ない人間が大多数を占める世界」というのが実際あり得るのかと衝撃的だったし、まさかそれをタランティーノ監督に教えてもらえるとは二重に衝撃だった。

フォックスは終始格好良い。彼の主演作って多分そんなに観たことないんだけど、渋い役のイメージがなんとなくあったから、セクシーな印象が強く残ったのが意外。素敵。鞍無しで馬を走らせるシーンはきっと「unchained」の象徴なんだろうね。

ヴァルツ演じるドクター・シュルツは賞金の為に人を殺すことを仕事と割り切っているけど、義理堅く、奴隷制度を嫌い、合理主義な面も強い。ちょっと変わり者。なんだか終始可愛い役。嫌味がなくて好きだったなー。

ディカプリオが出てるのも知らなかった(そんな極貧前情報でよく観たなと我ながら思う)ので、びっくりしたし、良い意味でよく似合う役だなと思った。キャンディは根っからのお坊ちゃんだけど気性が荒くて残忍、スマートだけど南部訛りの強い英語で確実に相手を追い詰める。すごく嫌なやつで、それでいて憎みきれない。
ディカプリオは「レオ様」と呼ばれていた時よりも、歳を重ねてからの方が絶対に素敵。
そういえばずっと前にどこかの記事で「ディカプリオが演技の最中に白熱しすぎて怪我をした。けどそのまま本人も周りも続行して、しかもとても良い出来だったのでそのまま採用されたシーンがある」って読んだことがあったんだけど、この映画だったのね。確かにあのシーンは迫力があってとても良かったし、あれが事故とは全く気付かない。プロ根性に脱帽。

そしてどんな作品にもいつも出て来る、みんな大好きサミュエル・L・ジャクソン。
まじで。最後まで全然気付かなかったんですけど。笑 通りであのじいちゃん終始インパクトある訳だわ。笑笑笑笑
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