あまんだ

返校 言葉が消えた日のあまんだのレビュー・感想・評価

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)
3.5
ホラーの恐ろしさより、歴史的な、個人ではどうする事もできないような時代背景に翻弄される人々の悲しみが勝る。
ストーリーの進行と謎解きが反比例する構成故、どこがどうとかの感想は、盛大なネタバレになってしまうので、この史実だけでなく、時代背景の犠牲となった人々に関して考えていた事を。台湾の白色テロに限らず、世界的に似たような事件は起こっていると思うのだが、加害者のその後は、どう生きていったのかという事が気になっている。
渦中では、自らの行動が正しいと信じたり、ヒステリー状態のように任務を遂行しているかもしれないが、戦争が終わり、平和な世になった時、その時代の象徴として振る舞い、個としての考えを滅したように人々を取り締まった人々は、どう生きていったのか。公開に苛まれ、心身のバランスを崩した人もいただろうが、普通に生きた人は、いったいどのような精神構造なのか。年端もいかぬような子供を謀り、追い詰めるような事をしておいて、何事もなかったかのように天寿を全うできるような人は一体何なのか。まず、「人」であるのか。人とは何なのか。何故、他者を思い、生きる人が苛まれ、苦しむのか。
人類史上、そんな事はずっとおこっているのかもしれないが、この映画を観て、改めて苦々しく、遣る瀬無くかんじたので。
あまんだ

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