TAK44マグナム

ザ・ビーストのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ザ・ビースト(2020年製作の映画)
3.7
船上はワイルドな戦場!


お盆期間ということで、仕事の現場に出入り禁止に。
これもコロナの影響?
去年までは全然平気で仕事していたんですけれどね。
そんなわけでお金にはならないし、たいへん暇になった一週間を有効に使おうと、積んでいるブルーレイやDVD、ネトフリやアマプラのリストを消化しようと意気込んでいた矢先に何故かGEOに寄って五本も借りてきてしまいました(汗)
うーん、ありがちっちゃありがちなパターン・・・
で、本作はその借りたなかの一本。
ニコラス・ケイジが密輸動物の腕利きハンターを演じる海洋パニックアクションです。


希少動物を密輸しては動物園などに売却しているハンターのフランク(ニコラス・ケイジ)。
黒いジャガーの捕獲を依頼されていたが、なんと伝説の白いジャガーを捕まえることに成功、意気揚々と船に乗せる。
ジャガーだけで100万ドルの価値があり、フランクはその金で悠々自適に暮らすつもりだった。
しかし、船にはジャガーの他にも「野獣」が乗船することになっていた。
それは、元NSAの破壊工作員であり、いまはアメリカを裏切った暗殺者のラフラー(ケヴィン・デュランド)。
特殊部隊で訓練された殺人マシーンであった。
不穏な空気の中、船はプエルトリコへ向けて出発する。
だが懸念が現実となり、ラフラーは見張りを殺害して逃亡をはかる。
しかも、ジャガーや毒蛇を船内に放った。
フランクはたまらずジャガーたちを回収しようとするが、ラフラーは次々と兵隊や乗員を殺してゆくのであった。
世界の海で最も危険な場所と化した巨大な船内で、生き残りをかけたバトルが始まる。
はたしてハントされるのは暗殺者か、それともハンターか・・・?!


これはB級どころかC級臭さ全開のジャケットから想像したよりもずっとマトモな出来映えの拾い物でした。
アルバトロス配給だし、どうせニコラス・ケイジがブッ飛んでいるだけのC級アクションだろうとタカを括っていたのですが、ニコラス・ケイジがちゃんと「仕事」をしていましたよ(苦笑)
Filmarksでは酷評も目立ちますし、確かにニコラス・ケイジは弛んだオッサンにしか見えませんが、それでもまだまだスター俳優(なのか?)!
土俵際ギリギリの俳優人生を生きるニコラス・ケイジ、まだ演れますよ!
ニコケイはダテじゃない!

基本スタイルは「ダイ・ハード」。
でも、敵が1人(+猛獣)で味方は多数という変則版。
どんどん味方側が狩られてしまうので、民間人であるフランクが戦う羽目になってゆきます。でも、フランクも元軍人の現役ハンターという設定なので展開上、ほぼ互角の戦いが続きます。
いきなり一斉に乗員がいなくなっていたり、ジャケットにはゴリラやらクマやらオオカミ、はては大蛇まで描かれているのに登場するのはジャガーとお猿さんと毒蛇のみと、やはり低予算なのは否めませんが、ニコラス・ケイジをはじめ、「X-MEN」シリーズのファムケ・ヤンセン、「トラジディガールズ」の殺人鬼役などが印象的なケヴィン・デュランド等のしっかりとしたキャスト陣、それに加えて展開に無理がなく、台詞もキマっている脚本に助けられていますね。
また、B級映画にしてはCGが意外とよく出来ています。
ジャガーの質感や表情は安っぽいものの、実在感はありました。

しかしながら、せっかくの猛獣大脱走設定があまり活かされていないのはかなり痛い。
最初こそ怒ったお猿さんや突然現れるジャガーが人間を翻弄しますけれど、途中から空気になってしまって姿も見せなくなっちゃいます。
もう少し絡んでくれたらよかったのに、これも予算の関係でしょうかね。
主人公に「ハンター」という属性を加えるための免罪符としては機能していましたが・・・
とりあえず、ラフラーとの決着のつけかたはよくあるパターンながらもフランクがハンターであるという設定をうまく活かし、なおかつジャガーの存在感も向上させ、個人的には気に入りました。
終わり良ければ全て良しとも言いますしね。

もう少し緊迫感が欲しいところですが後味もサッパリしているし、90分強を頭空っぽにして楽しめる作品。
時代が時代ならシネコンでかかっていてもおかしくないレベルだと思いました。
最近はトチ狂ったヘンテコな役が多いニコラス・ケイジの(捻くれながらも)純然としたヒーロー役を求める方にオススメです。

レンタルDVD(GEO)にて