"反撃の準備はできているか"
権力の怖さ。
無責任な人々の怖さ。
人間は自分から遠い存在であればあるほど無責任になれる。
相手が血の通った人間であると認識できないから。
想像力が及ばないから。
そして無自覚な私刑ーリンチーに加担することになる。
発達した情報技術のなかで、噂程度のものが拡大される。
サピエンス全史という書籍のなかで著者ユヴァル・ノア・ハラリは、噂が人間の繁栄に不可欠だったと述べている。
けれど、その噂は現代では拡大され僕たちに牙を剥く。
無責任な人々の矛として。
晒し者にされ被害を被っている人は一人や二人じゃない。
リチャードは太っている中年男性で、発言も変わってるから気持ち悪く見える。
僕も聖人君子ではないから、それなりにそう思う。
でも、決定的な物事に関してはそういうイメージを判断材料にしてはいけない。
イメージを判断材料にすると噂はますます牙を剥くようになる。
容疑の段階でリークした記者がリチャードの母の記者会見で泣いていたけれど、彼女はどれだけ反省しただろうか。
こういう冤罪の事案は後をたたないが、それらに関わった人たちは反省しているだろうか。
それを楽しんでいる僕たち観衆は反省しているだろうか。
心をえぐられる思いで涙があふれた。