とか26

Awayのとか26のネタバレレビュー・内容・結末

Away(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

🟨【良かったところ】
キャラデザだったりアニメーションは
気になるところが多いけど、
風景なんかまで全部ひとりで作られてる
ギンツ・ジルバロディス監督の努力量には
ただただ感服せざるを得ない。。
制作に3年半かかったって見たけど
逆にたった3年半でこれ作ってるの恐ろしい。
完成当時25歳だったらしいので、
実質20〜24とかで作ってるという…。

特に好きだった点は風景と構図で、
文句の付けようがないぐらいカッコよかった。
橋から落ちていった鳥が
橋の下から戻ってくるときの
鳥目線でのカメラワークとか、
作品のパッケージにもなってる
ウユニ塩湖的なロケーションと
真っ白な鳥たちを写した俯瞰のシーンも
抜群に美しかった。
うずまき状の穴に
大量のネコが列を成して並んでたり、
そのネコたちと一緒に昼寝してるみたいな
印象的なカットも多かった。

序盤から目的地を明確に用意してるから
自分探しロードムービー的な
いまは一体何してるんだろう…?感がなかった。
ずっと不穏な巨人の存在を置いてることで
冒険一辺倒にならず、タイムリミットも作ってる。

主人公が巨人の命を奪おうとする傍らで
命を狙われてる鳥の構図とか、
なんとか助かって主人公の元に戻ってくるけど
巨人の命を奪ったことに微笑みがこぼれる主人公みたいな
いろいろな角度から読み取れそうな
探究の余地を残してる
テーマ性の描きかたも恐ろしい。

テーマについて考えてたんだけど、
主人公は飛行機事故で生死を彷徨ってて
自覚の無い彼に死が追いかけてきてる。
白い鳥たちはすでに死んだ人たちで、
まだ死なないという主人公の意思が
飛べない(天国には行かない)鳥。
眠ることは死みたいなことだから、
主人公が眠ると飛んでる鳥の視点になる。
そもそも鳥は、主人公を見守ってる
飛行機事故で亡くなった親なんじゃ?とか
いろいろ思ったりしてた。

鳥が主人公のもとを離れていったのは
主人公が死を殺して微笑んだからで、
主人公が亀の命を救ったことで
鳥はまた戻ってくる。
そもそも主人公は、
彼を見殺しにせず助けることを選んで戻った
あの鳥なんじゃないか?と思ったり。
説明の徹底的な少なさによって、
世界が終わらないまま続いてるような作品だった。


🟥【気になったところ】
老若男女誰しもが感じる、
芸術性高めなゲームの
ストーリー部分だけを繋げ合わせた
YouTube動画感。

ちゃんと目的地を設定してる割には
なかなか出発してくれない序盤。
バイクに上手く乗れないとか、
巨人が攻撃して邪魔してくるとかでもなく
ただずっと出発を迷ってる20分間は
作品の掴みでもあるから
もう少しなんとかして欲しかった。

主人公のサイコパス味に溢れた目が
何考えてんのか分からず、終始不安定で怖かった。
ひっくり返った亀を助けるところ、
ひょっとして殺しちゃうんじゃないかと焦った。

ありがとうございました。
とか26

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