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金太と銀次のarchのレビュー・感想・評価

金太と銀次(2019年製作の映画)
3.0
どこにいても変わらない、変化を求めない生き方を堂々と讃歌する。
全編アフレコで録音されているので、映像と音声は緩やかにしか関連していない。誰が話しているのかを提示する程度だ。
それは時間や空間といった制約を感じさせない作劇を可能にしていて、"どこにいても変わらない"、"いつでも変わらない"彼らの日常をある意味大胆に描くことが出来ているのだ。

見ていて思い出したのはシャンタル・アケルマンの『故郷からの便り/家からの手紙』だ。どちらも映像と音の乖離が効果的に作用していたと思う。あちらは一人の独白(手紙の読み上げ)のみで話が進んでいくのに対して、本作は2人の無駄な会話によって進んでいく。その会話は一種のコントになっていて、ダラダラ聞いているだけで楽しかったりする。
そんな話はついに「死後の世界」にまで行く。話を聴くに、よく死んでも特に何も変わらないみたいな話はやるようで、毎回作風を変えている監督コンビの作品の中でも珍しく一貫した作家性のようだった。


とにかくフィックスのショットを愛用し(タルベーラが好きらしい)、独自の世界観を作り上げていて、彼らからしか得られない栄養があることは間違いない。
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