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花椒の味のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

花椒の味(2019年製作の映画)
3.9
家族の再生ものとして、非の打ち所がない。うまくまとまっている。それが唯一の非かな。亡き父が遺した異母姉妹三人と香港の火鍋の店。姉妹が憎しみあうことなく、知らなかった父の過去の欠片を埋めていき、自らの欠乏感も補っていく。父はどの母、どの家族をいちばん愛していたのか。

父をずっと許せなかったが最後は義務感でそばに暮らしていた長女が主役。台湾、香港、中国それぞれ姉妹が、母や祖母から父のいない欠乏感を補うに余りある愛情に支えられていたことに気づいていく。

次女と母の関係、三女と祖母の関係が愛情に溢れていてとても素敵だった。しっかりものでドライに見えるが長女は愛情深い。

料理人だった父とその三人娘の話は台湾の「恋人たちの食卓」があり、近い構成だった。食卓を囲むことで家族の絆を確認する話はとても好み。幸せな気持ちになれる。

父がいちばん愛していた女性は闇の中なのもよかった…まさに字のごとく火鍋の中へ。
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