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馬ありてのkyokoのレビュー・感想・評価

馬ありて(2019年製作の映画)
4.0
朝まだ暗い中、真っ白な息を吐き湯気を立てる馬たち。
どっしりとした身体、ふさふさのたてがみは神々しいほどに美しく、吸いこまれそうに深い黒い瞳は愛らしい。

北海道開拓時代、馬は人間の命よりも重要で、労働力として、移動手段として、家族として、人間が生きるうえで欠かせない存在だった。
機械にとって変わられ価値が変わってしまった今、人間によって残酷な宿命を背負わされている。

競走馬として生きていくか、食肉になるか。

ばんえい競走馬生産、馬喰、馬搬…今も馬を生活の糧にして生きる人がいて、馬をこよなく愛し、馬への畏れを忘れないために「オシラサマ」を祀る人がいる。遠い昔から続く馬と人間との結びつきに日本の原風景を見てどうしようもなく感動してしまった半面、ポニーが必死で坂を上がるのを見てなんだか泣きそうになったり、ポニーレースのあとでバーベキューしているのを見ると「それなんの肉ですか?」って聞きたくなったり、日頃の馬の勤労を感謝するはずのチャグチャグ馬コ祭の過剰な飾りはかえって馬は辛かろうとか考えちゃったのも正直な気持ち。

「地球上で人間ほど悪い動物はいない」
生産者戸田さんの言葉を誰が否と言えようか。
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